経済産業省及び高圧ガス保安協会がそれぞれ公表している事故統計資料によると、
製造事業所の事故の半数以上が冷凍事業所という傾向が続いています。
現象別では90%以上が漏えい・噴出であり、原因別では腐食管理不良が群を抜いています。
従って、冷凍事業所における腐食による漏えい事故が多いことが読み取れます。
”令和元年(2019 年)に発生した冷凍空調施設における事故について(高圧ガス保安協会)”
に具体的な事例が掲載されており、これによると配管の腐食による冷媒の漏えい事故が
多くを占めているように見受けられます。
一般的に配管材料として使用される銅と、同様に一般的な冷媒であるフルオロカーボン
の組み合わせで発生する腐食のメカニズムに関する論文がありましたので、ご紹介致します。
不活性冷媒中での銅の腐食挙動,南谷林太郎ほか,材料Vol.48 No.4(1999)
本論文によりますと、冷媒ガス中での腐食は大気腐食と同様なメカニズムのようです。
要するに、銅の表面に水分が吸着し、そこに酸素が溶解することで発生します。
温度(ガス温度,金属表面温度)も腐食に大きい影響を与えます。
考えられる対策ですが、水が凝縮する部位や、凝縮水が流れる部位を把握し、
そのポイントを定期的に検査することで、腐食を管理下に置くことができます。
また、冷媒中の水分量を定期分析するなどして、水分の増加有無をチェックすることも
間接的な対策の一つになり得えると考えます。