【状態基準保全(CBM)の難しさと今後の展望】

状態監視保全は、故障率曲線、いわるゆバスタブカーブで言う「摩耗故障領域」に差し掛かった段階で分解整備などを行う保全方式で、設備寿命を全うできる、判断の属人化防止などのメリットが挙げられます。その考え方は1970年代からありましたが、時間基準保全(TBM)から置き換わるほどの普及は見られませんでした。

普及が進まなかった主な理由は下記の2つが挙げられるかと思います。

①高額な設備投資
CBMを実行するためには振動、AEなどのセンシングが不可欠になりますが、これらの導入設置には多額の設備投資が必要でした。センサのみならずケーブル敷設費用はバカにならず、そこかしこに設置というわけにはいきませんでした。

②故障判断の難しさ
センサ設置完了!これで突発的な設備故障は防げる!安心!というわけにはなかなかいきません。
収集された測定データを分析し、異常の兆候パターンを見極めなければなりません。それには故障経験からの学習が必要です。
また、幸いにも異常兆候を捉えることができた場合でも、故障時期を見極めて停止時期を判断するのは容易ではなく、停止判断根拠提示の難しさから、そのまま運転を継続し結局故障、といったケースもあります。

IoT活用(いわゆるDX)が進む現在においては、
・センサ無線化により導入設置コストが下がってきた
・ビッグデータの取り扱いが可能になってきた
・AIによるビッグデータ解析が可能になってきた
ことから、前述のデメリットは小さくなり、今後CBMは加速していくものと考えられます。

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