「時間はお金より大事」とよく言われますが、それを強く意識して生きている人はどれほどでしょうか?(意識しすぎも精神衛生上良くないと思いますが…)とりわけ仕事の場合は、かけた時間に対するアウトプットは「生産性」として会社の利益の多寡に直結します。
回転機械の振動解析においては、既に異常が認められるわけですから、速断・即断が求められるケースが多いですので、作業から判断までのスピードは大事です。
写真の例は、ある回転機械(N=1,600rpm, 26.7Hz)で加速度ピックアップで測定した、周波数レンジ1~5kHzの時間軸波形とFFTスペクトルです(詳細な解析条件は割愛)。
時間軸波形を一見すると、一定周期でのパルス状振動が認められましたので、その発生周波数を解析して発生源を診断したいところです。
より正確な発生さを期するのであれば、信号を包絡線処理してFFT解析しますが、そもそも面倒ですし、そこまでしなくてもそれに代わる簡易代替手段として、時間軸波形を見れば凡そ判断できます。この場合、パルス状振動発生周期 T=約40msecと読み取れますので、発生周波数 F=1/T=25Hz を導けます。その結果、回転周波数26.7Hzとほぼ一致することが分かりますので、「回転毎のローターと静止部品の接触疑い」の診断を下すことができます。
パルス数が多くて周期の読み取りが難しい場合、画面上のパルス数を切り取った時間(この場合80msec)で割れば、同様にFは導けますよね。
こんな感じで仕事の精度とスピードのバランスを取ることで、限られた時間を大切にしつつ、適切な意思決定に貢献することを常日頃考えています。
