【圧力容器へのリーン二相ステンレス鋼の適用】

高強度、高耐食で溶接性もまずまずという特徴を有する二相ステンレス鋼は、SUS304など汎用オーステナイトステンレス鋼の弱点である応力腐食割れの防止の代表的鋼種として、圧力容器で広く使われてきました。

一方、最もポピュラーな二相ステンレス鋼であるSUS329J4Lは高合金ゆえ材料コストが割高という側面がありました。

両者のすき間を埋める材料として合金成分を抑えたSUS821L1, SUS323Lといったリーン二相ステンレス鋼が約10年前に登場しましたが、圧力容器への適用については、これまでは高圧ガス保安法、第一種圧力容器などの実質的な技術基準であるJIS B 8265「圧力容器の構造」において、許容引張応力が規定されておらず計算厚さを示すことができなかったため、これらの法規制を受ける設備への適用は特別認可を受けるしかありませんでした。

このほど令和6年5月26日にリリースされた同JISの2024年版では、リーン二相ステンレス鋼がラインナップに加わったとの情報を得ました。これによって、特に圧力設備における汎用オーステナイトステンレス鋼の耐応力腐食割れ性向上を目的とする鋼種への置き換えの際のコスト面のハードルが下がることが期待されます。

PAGE TOP