前回、鉄の腐食を引き起こす駆動力となっている主な物質は、「酸素」と「水」であることをお伝えしました。
お気づきのことと思いますが、空気中には酸素が21%ありますし、水も水蒸気として存在しています。雨も降ります。ですので、鉄は空気中においてはいとも簡単に(は言い過ぎかも知れませんが…)腐食して錆びてしまうのです。
そんな耐食面ではひ弱な鉄(鋼)ですが、一方で引張や曲げなどの強度が高い、加工や溶接が容易、安価、といったメリットも多いことから構造物や圧力設備としては魅力的な材料です。
そんな鉄鋼材料で作った設備は、地球から頂いた資源を使って作り上げた貴重なものですし、ライフサイクルコストの面からも、できるだけ長く健全な状態で使いたいところです。そのために腐食・防食に関する基本知識を得て対策を実行することは、持続可能な社会に向けた立派な社会貢献と考えています。
次回からは防食の基本的な考え方について触れていきます。